犬も人間と同じように咳をすることがあります。わんこが「ゴホッゴホッ」と咳をしていると心配になりますよね。咳をして動物病院で診てもらったら抗生剤が処方されることがあります。しかし、抗生剤のお薬を飲んでも咳がよくならず止まらない場合があります。そこで、犬の咳が抗生剤で治らない原因と対処について解説します。
■犬の咳とは?
犬も人間と同じように咳をすることがあります。犬の咳は、音にすると「コホッ、コホッ」と乾いた感じの咳と、「ゴボッ、ゴボッ」とタンが絡んだような湿っぽい咳があります。湿っぽい咳の場合、時々、咳をした最後で、カーッとタンのようなものを吐き出すこともあります。これを嘔吐と勘違いされる飼い主さんがいるようです。咳によるタンころの吐き出しか、食道や胃腸からくる嘔吐かは飼い主さんがきちんと見分ける必要があります。そうでないと、仮に動物病院にかかったときに間違った診断を誘引してしまう可能性があるからです。きちんと愛犬を観察すれば、咳か嘔吐かを判別する事は難しくはありません。どうしても分からない場合はスマフォに動画を記録して獣医師に見せるか、嘔吐と咳の両方の可能性があると伝えましょう。
もしかすると咳ではなく、嘔吐かもしれないと思った場合は以下の記事が参考になります。
タンころは犬自身が吐き出したあとで食べてしまったり、吐き出さないこともあり、その時その時で様々です。
犬の咳の症状は、人間と同じような症状ですが、飼い主の見立てによっては咳と嘔吐が区別しにくいケースがある点が注意したいところです。
■犬の咳で抗生剤が出る症状は?
咳の原因として多いのは、人間の場合と同じような気管支の炎症か肺の炎症や疾患が疑われます。動物病院で抗生剤が処方される場合は、肺炎の一歩手前の症状であることが多いです。肺炎の場合でも、一時的に入院して酸素室などに入り、改善したら退院後のお薬として抗生剤が出るケースがあります。抗生剤とは、細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬のことで、肺の炎症の原因菌を壊したり、増殖を抑えることで、炎症を治すことを期待して処方されます。
肺炎(肺炎の一歩手前)
病原体が肺に感染することで、肺が炎症を起こしてしまう病気です。
食べ物や水などを誤嚥(ごえん…食物や水などが間違って気管に入ってしまうこと)することにより生じる誤嚥性肺炎や、細菌に感染することによる細菌性の肺炎、などがあります。免疫が一時的に弱くなったときに、細菌が繁殖して炎症を起こすこともあります。
症状が悪化すると、肺の機能が低下してしまい、1回の呼吸で取り込まれる酸素が減ってしまうために呼吸が早くなることがあります。
その他
犬が咳をする原因は、他にもあります。肺水腫や心臓病などです。しかし、それらの症状で抗生剤が処方されることはないと考えられるため、本記事の対処も有効ではありません。
■うちのわんこの場合
うちのわんこは以前、肺の炎症からくる咳をしていました。
咳をなくすために、抗生剤(細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬のこと)が処方されました。しかし、抗生剤は、使い過ぎていると細菌に耐性ができてしまい効かなくなってしまいます。抗生剤に耐性ができた細菌を耐性菌と言います。耐性菌には抗生剤は効き目がありませんので、薬を飲んでいるのに、咳が治らないという事象が起こってきます。
抗生剤が効かない場合、細菌培養検査に出せば、効果のある抗生剤を調べてくれます。抗生剤には非常にたくさんの種類の薬剤が存在しています。それを、わんこの体から採取した病原菌に対して効くのかどうかを、培養して検査してくれるのです。
細菌培養検査をやってみましたが、うちのわんこの場合は、効く抗生剤の種類が極端に限られる結果となりました。検査で効くと出た抗生剤を試してみるのもひとつの手ではありますが、また耐性ができてしまうとも限りません。
抗生剤以外の対処として、うちのわんこの場合は「フルタイド」という人間用の喘息薬が咳を止める効果がありました。この薬は、犬用の吸入器を使って、吸い込むタイプのお薬です。
犬用の吸入器とは?
喘息のお薬は人間の場合は噴射口を口でくわえて、薬剤を噴射して吸入します。しかし、犬の場合は口でくわえても隙間ができてしまうので、人間と同じように吸入することができません。
そこで、犬用の吸入器というものがあります。密閉された容器に薬剤を噴射して、反対側に犬用の吸入口があります。
吸入口はわんこが空気を吸い込んだら、容器内の空気が流れるようになっています。反対に、吐き出した空気は、弁がついていて容器内には入らず外に逃げる構造になっています。
犬用の吸入器を使えば、吸い込むタイプの薬を使った治療を犬でも出来る、ということです。
ステロイドとは?
「フルタイド」は人間用のステロイドのお薬です。ステロイドとは、腎臓のすぐ上にある副腎皮質という臓器で生成されているホルモンの総称です。ホルモンとは体内を循環して別々の場所にある細胞と細胞が情報をやり取りするための物質のことです。ステロイド薬は副腎皮質ホルモンを人工的に作り薬としたものです。
ステロイドは炎症を抑えるのによく効くお薬です。しかし、デメリットとして副作用もあるため使い方に細心の注意が要るのがステロイド薬です。
吸入器の場合、薬剤を霧状に噴射して肺の患部に直接到達できるようにすることで、飲み薬や注射よりもはるかに薬剤の使用量が少なくすむように考えられています。使用量をごく少量に抑えることでデメリットである副作用が出にくくされています。
我が家のわんこは、1日1回(1プッシュ)の吸入をしています。
吸入器、フルタイドを試したい場合
かかりつけの獣医師にご相談してみてください。吸入器は自分で購入することもできますが、ステロイド薬は獣医師の診断が必要です。
■まとめ
- 犬も人間と同じように「咳」をすることがあります。
- 「咳」を治すために、「抗生剤」が処方されることがありますが、耐性菌が出来てしまうと、抗生剤が効かなくなります。
- 「咳」を治すために、犬用の吸入器を使ったステロイド薬を吸入する治療があります。
- 吸入薬は、ステロイド薬の使用量をごく微量に抑えられ、副作用が出にくいように工夫されたお薬です。