犬の歯磨きの一番の目的とは『歯周病を防ぐこと』だということを知っていますか?
人間のケースでも同じですが、歯周病は重度になると歯周病菌が血管から全身に行きわたり、様々な病気を引き起こす要因となると考えられています。
この記事では「歯周病を防ぐ」という目的を前提に、歯磨きをしないとどうなるか?、わんちゃんの歯磨きの仕方を解説していきます。
■犬の歯磨きの目的は?
人間が歯みがきをする目的は、虫歯予防や歯周病予防があります。
一方で、犬の場合は主に歯周病予防だけが目的です。犬の場合は人間と違って虫歯にはならないのです。歯周病とは、歯の周りの歯周組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質)に炎症が起こっている病気の総称です。
近年の研究では、歯周病が重症化すると歯周病菌が、歯の根っこの血管から侵入し、その後血管を巡って体中に広がり、様々な病気を引き起こす要因となることがわかってきています。
そのため、犬の歯みがきでは、歯周病のもとになる歯垢(プラーク)を除去し、歯周病を予防することが目的となります。
■犬の歯みがきの頻度はどれくらい?
犬の場合、歯垢(プラーク)が歯石になる期間は人間の場合よりも短く、約3日と言われています。
そのため、毎日、1日1回の歯みがきが理想的だと言われています。
しかし、実際はなかなか毎日続けていくのは難しい場合が多いように思います。
我が家の場合は、歯の状態をチェックして、汚れがひどい場合、口臭が臭くなってきた場合に歯みがきをするようにしています。
このやり方だと、1週間に1回程度の頻度の歯みがきとなります。
ただし、我が家のわんこ達が1週間に1回の歯みがきで歯周病が完全に防げているわけではありません。なので、完全に歯周病を防ぎたい場合、頻度としては毎日の歯みがきが前提となってきます。
■なぜ現代の犬は歯磨きが必要なの?
大昔の犬たちは、そもそも歯みがきなどしていなかったのに、なぜ現代の犬たちは歯みがきが必要なのでしょうか?
それは、大昔の犬は固くて食べカスが残りにくい食べ物を食べていました。ところが現代は、柔らかくて粉々な食べかすが出るドッグフードを食べるようになりました。犬の食生活が現代になり変わってきた事が大きな要因だと考えられます。
■歯磨きをしないでいるとどうなる?
歯磨きをしないでいると、歯垢や歯石から歯周病菌が増殖することで炎症が起こりやすくなります。炎症が酷くなると犬の場合は顔が腫れてしまいます(↓写真)。さらに炎症した箇所に膿がたまるとほっぺたに穴が開いて血膿があふれ出てしまう程です。
やがて、歯周ポケットの歯石が成長していき歯周病が進行していきます。歯周病による炎症・顔の腫れを繰り返すようだと、最終的には歯を抜く手術を考えることも必要になってきます。
我が家のダックス達も歯が歯石で汚れ、炎症を繰り返してしまったために、歯を抜かざるを得ない状況になってしまいました。そのときに抜いた歯がコチラ↓です。歯根と呼ばれる歯の根っこ部分が黒茶色になった歯石がこびりついた状態で、歯周病の状態です。定期的に歯みがきをしていてもこうなってしまうので、歯みがきをしないと、一層早く歯周病になりやすいと言えます。
■犬の歯みがきに必要な道具
犬の歯みがきには、ガーゼ、犬用歯ブラシを使います。
(犬用のデンタルペーストは『保存料』等の添加物が入っていることを気にして、我が家ではあえて使っていません。)
ガーゼは、ソフキュアガーゼという製品が使いやすいです。
犬の歯ブラシは、ブラシの毛がやわらかくてフサフサなものを選びます。
ブラシの毛が固めで平面的な歯ブラシは、歯と歯茎のスキマである歯周ポケットに届きにくいためおすすめしません。
我が家では、『ベッツドクタースペック』という犬猫用歯ブラシを使っています。超極細タイプで小型犬の歯周ポケットにも入り込んでくれます。
■歯磨きの前準備
歯みがきするときのわんこの姿勢
歯みがきをする場所は、水を使うので洗面室のように、すぐに水道が使える場所が便利だと思います。
わんこの姿勢はおすわりか立ったままで、わんこの口の高さが歯みがきする人間の胸の高さと同じになるとやりやすいです。この場合はわんこは何かの机や台に乗ってもらいます。
初めての場合は歯みがきに慣れてもらうことが優先
歯みがきが生まれて初めての場合は、まずは手で口を外から触っても嫌がらないように慣れて貰います。
口を外から触っても嫌がらなければ、「唇をめくる」→「歯と歯茎に手で触れる」→「歯ブラシで歯と歯茎に触れる」
と段階的に進めて慣れて貰います。
このとき、上手にできたらおやつをあげて褒めてあげるといいでしょう。歯みがきするときにおやつをあげていいの?と思うかもしれませんが、ここでの目的は歯みがきに慣れてもらうことを優先としていますから、おやつをあげても構いません。
■歯磨きの仕方
自宅での歯磨きは、次の3ステップで行います。
①最初はガーゼ
最初はガーゼを指で持ち、歯の表面に付いた歯垢をこすりとります。ガーゼは指に巻き付けるように持つとやりやすいと思います。
ガーゼに付着する歯垢と汚れを確認しながらやります。歯の裏側もこすっていきます。
②ブラッシング
次に歯ブラシでブラッシングをします。ブラッシングで狙う場所はズバリ歯と歯茎の間のスキマ、歯周ポケットです。歯周ポケットに潜っている食べカス、歯垢を書き出すイメージを持ってブラッシングします。
上記の①でガーゼで拭くと、歯の表面の歯垢は除去できますが、歯周ポケットの歯垢は取れません。ブラッシングではそうした隠れて取りにくい歯垢を狙ってかき出します。
③もう一度ガーゼ
最後にもう一度ガーゼでブラッシングにより書き出した汚れを拭き取ります。
お利口にできたら、しっかり褒めてあげます。
■歯みがきを助けるサプリ
犬の歯垢を定着しにくくする乳酸菌を活用したサプリメントを我が家では使っています。
詳しくはコチラの記事をご覧ください。
乳酸菌を活用したサプリメントは他にもあります。